リーダーシップ往復書簡 057

リーダーシップ往復書簡 057

 

 

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。

本稿では、利害関係の調整の際のリーダーの心構えについて記載をしたいと思います。

利害関係の調整をするリーダーには、無私の心が必要です。これは優れたリーダーからすれば自然体で臨めることだと思います。

リーダーは、利害関係が一致しない当事者のため、組織全体のため、社会のためなど、多くの人のことを考えなければ、利害関係の調整をすることができません。

特に利害関係が一致しない当事者が多い場合などは、蟻の一穴で、一人の当事者の判断によって、利害関係の調整全体が不調に終わってしまう場合もあります。

リーダーは、利害関係の調整を成功させることが最優先で、もちろん自分のことなどは二の次にしなければなりません。

利害関係の調整内容次第によっては、短期的にリーダーが損をすることがあるかもしれませんが、成功させれば、必ずリーダーの影響力は拡がります(以前も記載したとおり、リーダーが利害関係の調整を引き受けるからには、必ず成功させなければなりません。)。

この事例として落語の「三方一両損」を挙げたいと思います。これは「左官金太郎が三両拾い、落とし主の大工吉五郎に届けるが、吉五郎はいったん落とした以上、自分のものではないと受け取らない。大岡越前守は一両足して、二両ずつ両人に渡し、三方一両損にして解決する」というエピソードです。

この話は、大岡越前の史実ではないようですが、リーダーの利害関係の調整の事例の一つとして参考になると思います。これは江戸時代の裁判を紹介した話ではなく、リーダーによる利害関係の調整のエピソードなのだと私は考えています。

まず、この話ですが、前述の記載のとおり、現代の裁判では信じられない判決です。過去に起きていることではなく、未来志向で、問題解決されています。

次に、利害関係の調整人が、目の前の問題解決のために、自らが金銭的な負担をすることで問題を解決し、その結果、名判決をしたという中長期的な影響力を手に入れるというのもよく出来ている話だと思います。

このようにリーダーによる利害関係の調整は、当事者のため、世のため人のために一生懸命に行い成功させれば、短期的にリーダーが損するようなことがあったとしても、中長期的にはリーダーの影響力を高めることになると思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.57】
プロ経営者などリーダーとしてキャリアを築いていく上で、注意しなければならない点は何でしょうか?

 

<コメント>

前提として、質問者の方が考えるキャリアと私の考えるキャリアが一致しているかという論点があります。

どういうことかというと、例えば多くの人から憧れられる大企業に入社し順調に歩んでいるキャリアは、それはそれで素晴らしいことだと思いますが、その大企業の地位になければ力を発揮できないことが往々にしてあります。
私が考えるキャリアは、過去のキャリア(経験や経歴)というよりも、過去から未来へと繋がる「生き様」なのです。

こういった観点からアドバイスをすると、あまり要領が良くなり過ぎないことが大事です。

日々の仕事において、要領の良さは仕事のアウトプットに直結しますから、多くの人が重きを置いて捉えていると思います。

しかし、キャリアという観点では、眼鼻が利きすぎて、要領が良いと、問題を回避する選択をしがちです。そうなってしまうと、本来ならば、その人にとって必要となる成長の機会をみすみす逃しかねないのです。

ある程度の年齢になると、いかに過去の経験や経歴が立派であっても、まさに今、周囲の人から期待され求められていることを成し遂げられないのであれば、そのキャリアには意味がないと評価されてしまいます。

もちろんバランス感覚が必要であることは言うまでもありませんが、私は、適度に不器用に生きたほうが、リーダーシップも磨かれますし、人生が豊かになると考えています。

 

※この記事は、2020年10月31日付Facebook投稿を転載したものです。

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